【今日の1分間読書】バレンタインの終わらない夜 第1章【Claude】

バレンタインデーの前日に学校に閉じ込められた悠真と美咲。一体何が起こったのか。二人は校内放送の案内に従い体育館に向かった。それでは少しの間お付き合いください。

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第1章:「閉じ込められた校舎」

体育館は既に大勢の生徒で溢れかえっていた。悠真と美咲が到着したとき、パニックの渦中にある様子が一目で分かった。泣き叫ぶ生徒、怒りを爆発させる者、茫然と立ち尽くす者。混乱の中、生徒会長の井上拓也が壇上に立ち、マイクを手に取った。

「みんな、落ち着いてください!」

拓也の声が体育館に響き渡る。彼は知的で冷静な性格で知られており、その姿に多くの生徒が静かになっていった。

「現在の状況を説明します。約30分前、我々の学校は何者かによって封鎖されました。校舎の周りには見えない壁があり、出入りが不可能です。教職員の方々も含め、現在校内にいる全員が閉じ込められています」

ざわめきが起こる。悠真は美咲の手を握りしめた。

「私たちは既に警察や消防に連絡を試みましたが、全ての通信手段が遮断されています。現時点で外部との連絡は取れません」

拓也の言葉に、再び不安の声が広がる。

「しかし、パニックになる必要はありません。まずは冷静に状況を把握し、対策を考えましょう。生徒会として、以下の提案をします」

拓也は一呼吸置き、続けた。

「第一に、夜を越える可能性があるため、教室を仮眠所として開放します。第二に、食料と水の確保。残念ながら、学食の在庫は限られています。配給制を敷き、全員が最低限の栄養を取れるようにします」

実用的な提案に、少しずつ冷静さを取り戻す生徒たち。しかし、まだ不安は拭えない。

「第三に、脱出方法の模索です。校内を探索し、この障壁の弱点を見つけ出す必要があります。ただし、危険を伴う可能性もあるため、探索は有志のみで行います」

悠真は美咲を見つめた。彼女の瞳には不安と決意が混ざっている。

「最後に、これは単なるイタズラかもしれませんが、最悪の事態も想定する必要があります。私たちは協力し合い、この状況を乗り越えなければなりません」

拓也の演説が終わると、体育館は静寂に包まれた。その後、生徒会メンバーが中心となって、仮眠所の割り当てや食料の配給システムの説明が始まった。

悠真と美咲は、2年3組の教室が彼らの仮眠所に指定された。教室に向かう途中、二人は窓の外を見た。紫色に染まった空の下、学校の敷地を囲む透明な壁が、かすかに脈動しているように見えた。

「悠真くん、私たち…どうなるの?」美咲の声が震えている。

「大丈夫だよ。必ず、ここから出られる方法を見つけるから」

悠真はそう言いながらも、胸の内には不安が渦巻いていた。なぜこんなことが起きたのか。誰がこれを仕組んだのか。そして、美咲が裏庭で話そうとしていたことは、一体何だったのか。

教室では、机を寄せ合って簡易ベッドが作られていた。体育倉庫から運び出されたマットが床に敷かれ、最低限の寝る場所は確保された。しかし、毛布は全員分なく、寒さをしのぐのは困難そうだった。

配給された夕食は質素なものだった。パンと水、それにわずかなおかず。栄養面を考えると心もとない。悠真は自分の分を半分に分け、美咲に差し出した。

「私は大丈夫だよ」と美咲は断ろうとしたが、悠真は聞き入れなかった。

「お腹を空かせていては、冷静に考えられない。遠慮しないで」

美咲は感謝の笑顔を見せ、パンを受け取った。その瞬間、悠真は胸が締め付けられるような感覚を覚えた。この状況下でも、彼女の笑顔には心を癒す力があった。

夜が更けていく。教室では、誰もがぎこちない体勢で眠りにつこうとしていた。暗闇の中、悠真は天井を見上げながら考えを巡らせる。明日からどうなるのか。この状況はいつまで続くのか。そして、美咲が話そうとしていたことは…。

「ねぇ、悠真くん」暗闇の中から、美咲の囁きが聞こえた。

「何?」

「私、怖いの」

悠真は美咲の方に体を向けた。月明かりに照らされた彼女の横顔が、不安に揺れているのが見えた。

「大丈夫だよ。僕が必ず、君を守るから」

その言葉に、美咲はかすかに頷いた。二人は互いの存在を感じながら、不安な夜を過ごしていった。しかし、これはまだ始まりに過ぎなかった。彼らの前には、さらなる試練が待ち受けていたのだ。

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最後に

体育館には閉じ込められた人たちが集まっていた。生徒会長の拓也の話では教職員も含め、現在校内にいる全員が閉じ込められているとのこと。先生がいるのに生徒会長がこの状況を掌握している。すごく頼りがいのある生徒なんですね。

拓也から実用的な提案が行われ一同は冷静さを取り戻す。果たしてこの先どうなってしまうのか。それでは続きはまた後日。ご期待下さい。

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