【今日の1分間読書】バレンタインの終わらない夜 第2章【Claude】

体育館には閉じ込められた人たちが集まっていた。生徒会長の拓也の話では教職員も含め、現在校内にいる全員が閉じ込められている様子。拓也から実用的な提案が行われ一同は冷静さを取り戻す。果たしてこの先どうなってしまうのか。それでは少しの間お付き合いください。

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第2章:「分裂する生徒たち」

朝日が昇り、新たな一日が始まった。しかし、学校を取り巻く紫色の壁は依然として健在だった。一夜明けても状況は変わらず、むしろ生徒たちの間に新たな緊張が生まれ始めていた。

朝の体育館集会で、生徒会長の井上拓也が現状報告を行った。

「昨夜から状況は変わっていません。しかし、私たちにはより深刻な問題があります」拓也は一瞬言葉を切り、続けた。「食料と水の問題です。現在の在庫では、全校生徒分を3日間しか賄えません」

会場に動揺が走る。

「そのため、生徒会としては探索隊の結成を提案します。校内の未使用の場所を探り、物資の発見と脱出口の模索を同時に行います」

この提案に対し、3年生の佐々木翔が立ち上がった。運動部のキャプテンで、その体格と強い意志で知られる存在だ。

「探索なんて悠長なことをしている場合じゃない。俺たちは力ずくでもここから出るべきだ!」

佐々木の発言に、運動部の生徒たちが同調する声を上げた。一方で、別のグループからは異論が出された。

「暴力的な手段は危険です」化学部の部長、田中美月が発言する。「この barrier(バリア)は科学的なアプローチで解析すべきです。物理的な攻撃は、かえって状況を悪化させる可能性があります」

教室は瞬く間に三つの派閥に分かれた。拓也を中心とする「協調派」、佐々木率いる「実力行使派」、そして田中らの「科学探求派」だ。

悠真と美咲は、この分裂する状況を静かに見守っていた。

「ねぇ、悠真くん。私たちはどうすればいいの?」美咲が不安そうに尋ねる。

悠真は慎重に言葉を選んだ。「今は、どのグループにも所属せず、状況を見極めるのが賢明だと思う」

実際、三つの派閥は次第に対立を深めていった。「協調派」は校内の秩序維持を重視し、「実力行使派」はバリアに対する物理的な攻撃を試み、「科学探求派」は様々な実験を行おうとしていた。

昼食時、悠真と美咲は屋上で配給された質素な食事を取っていた。遠くには紫色のバリアが薄っすらと見える。

「美咲、昨日の裏庭で、何か話があるって言ってたよね」悠真は慎重に切り出した。

美咲の手が一瞬止まる。「あ、あれは…」彼女の頬が僅かに赤くなった。

その時、突然ドアが開き、佐々木と彼のグループが屋上に現れた。

「おい、お前ら。どっちの味方なんだ?」佐々木が威圧的に二人に迫る。

悠真は本能的に美咲の前に立ちはだかった。「僕たちは、誰の味方でもありません」

「チッ、そういう優柔不断な奴らが一番タチが悪いんだよ」佐々木は悠真の肩を強く押した。

その瞬間、美咲が叫んだ。「やめて!」

彼女の声に、佐々木は一瞬たじろいだ。しかし、すぐに冷笑を浮かべる。「ヘッ、幼なじみの彼女に守ってもらってか?情けねぇな」

佐々木たちが去った後、美咲は悠真の肩に手を置いた。「大丈夫?」

「ああ…でも、こんな状況が続くと、もっと深刻な対立が起きるかもしれない」悠真は空を見上げながら言った。

その予感は的中した。午後になると、「実力行使派」がバリアに対して実力行使を開始。バットや椅子を使って、バリアを破壊しようと試みた。しかし、全ての攻撃は無効化され、むしろバリアが一瞬強く輝くだけだった。

一方、「科学探求派」は化学室で様々な実験を行っていた。彼らは、この現象には科学的な説明があるはずだと信じていた。しかし、従来の物理法則では説明できない事象に、次第に焦りを見せ始めていた。

夕方、生徒会室で緊急会議が開かれた。三つの派閥のリーダーが一堂に会したが、話し合いは平行線を辿るばかりだった。

悠真と美咲は、その会議の様子を廊下から見ていた。

「ねぇ、悠真くん」美咲が囁くように言う。「私、あることに気づいたの」

「何?」

「このバリアが現れたのって、ちょうど私が…あなたに話そうとした時だったよね」

悠真は息を呑んだ。確かにそうだった。そして美咲の表情には、どこか罪悪感のようなものが見えた。

「まさか…」悠真は言葉を濁した。

美咲は俯いた。「私、このことと関係があるのかもしれない…」

その時、突然校内放送が鳴り響いた。

「緊急事態発生!化学室から火災が発生しました!近くの生徒は直ちに避難してください!」

悠真と美咲は顔を見合わせた。混乱は、新たな段階に入ろうとしていた。

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最後に

三つの派閥に分かれた生徒たち。「協調派」は校内の秩序維持を重視し、「実力行使派」はバリアに対する物理的な攻撃を試み、「科学探求派」は様々な実験を行おうとしていた。悠真と美咲はどのグループにも属そうとは考えていなかった。

そんな中、美咲があることに気付く。バリアが現れたことは自分に関係しているかもしれないと。その頃、化学室では火災が発生していた。一体なぜ。

それでは続きはまた後日。ご期待下さい。

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