【今日の1分間読書】バレンタインの終わらない夜 エピローグ【Claude】

みんなが本当の気持ちを打ち明けることで、ついにバリアは消滅した。閉じ込められた人は無事に脱出することができたのだった。その後二人はどうなったのか。それでは少しの間お付き合いください。

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エピローグ:バレンタインのその後

バリア事件から1ヶ月が経過した3月14日、ホワイトデー。桜の蕾が膨らみ始めた学校の中庭で、佐藤悠真は山田美咲を待っていた。

「悠真くん、待たせてごめん!」

美咲の声に振り返ると、彼女が小走りでやってくるのが見えた。その姿を見て、悠真の胸に温かいものが広がる。

「いや、今来たところだよ」

そう言いながら、悠真はポケットに手を入れ、小さな箱を握りしめた。

二人は並んで歩き始めた。周りでは、他の生徒たちも三々五々と話し合っている。バリア事件以降、学校全体の雰囲気が変わったことを、二人は肌で感じていた。

「ねえ、悠真くん」美咲が空を見上げながら言った。「あれから、みんな変わったよね」

悠真も頷く。「ああ、みんなもっとオープンになった気がする」

実際、以前は厳しく対立していた3つの派閥も、今では協力して学校をより良くしようと活動していた。井上拓也は生徒会の運営をより透明にし、佐々木翔は運動部と文化部の交流イベントを企画。田中美月は、科学の面白さを広めるワークショップを開催していた。

「私たち自身も、ずいぶん変わったわね」美咲が小さく笑う。

悠真は美咲の横顔を見つめた。「ああ、でも変わらないものもある」

「え?」

悠真は深呼吸をして、美咲の前に立った。

「美咲、あの時バレンタインチョコを受け取ったけど、俺からの返事をまだ正式にしてなかったよな」

美咲の頬が、かすかに赤くなる。

「これ」

悠真がポケットから取り出したのは、小さなジュエリーボックスだった。

「開けてみて」

震える手で箱を開けると、中には小さなペンダントが。ハートの形をしたそれは、薄い紫色の光沢を放っていた。

「これ…」

「ああ、バリアの欠片なんだ。あの日、バリアが消えた直後に見つけたんだ」

悠真が説明を続ける。

「美咲の気持ちが作り出したバリア。でも、それは同時に俺たち全員の気持ちの結晶でもあった。だから…」

言葉を詰まらせる悠真に、美咲が優しく微笑んだ。

「ありがとう、悠真くん。大切にするね」

美咲がペンダントを首にかけると、それは柔らかな光を放った。

「美咲、付き合ってください」

悠真の言葉に、美咲の目に涙が浮かぶ。

「うん!」

二人が抱き合った瞬間、桜の木から一輪の花びらが舞い落ちた。

その日の放課後、生徒会室では特別な会合が開かれていた。拓也、佐々木、美月、そして悠真と美咲が集まっていた。

「みんな、来てくれてありがとう」拓也が口を開いた。「バリア事件から1ヶ月。私たちは何を学び、これからどうしていくべきか。そのことを話し合いたくて」

佐々木が腕を組みながら言った。「正直、あの時は怖かったぜ。でも、みんなの本音を聞いて、俺も変わろうって思ったんだ」

美月も頷く。「私も同感です。科学だけでなく、人の心の大切さを学びました」

「私は…」美咲が少し躊躇いながら言葉を紡ぐ。「自分の気持ちに正直になることの大切さを学んだわ。そして、みんなで協力することの素晴らしさも」

悠真が美咲の手を握り、言葉を継いだ。「俺たちは、一人じゃない。互いの気持ちを理解し合えば、どんな壁だって乗り越えられる。そう信じられるようになった」

拓也が立ち上がり、窓の外を見つめた。夕日に照らされた校庭には、楽しそうに話す生徒たちの姿があった。

「私たちの体験は、きっと特別なものだった。でも、ここで学んだことは普遍的なんだ」

拓也が皆を見回す。

「これからも、心の壁を作らず、お互いを理解し合おう。そうすれば、私たちの学校は、もっと素晴らしい場所になるはずだ」

全員が頷き、互いに視線を交わした。その瞬間、彼らの間に見えない絆が生まれたのを、皆が感じていた。

夜空に最初の星が輝き始めたころ、悠真と美咲は校門の前に立っていた。

「ねえ、悠真くん。私たち、これからどうなるのかな」

美咲の問いかけに、悠真はしっかりと彼女の手を握った。

「分からないさ。でも、一緒に歩んでいけば、きっと大丈夫だよ」

二人は寄り添いながら、桜並木の道を歩き始めた。その胸には、バリアの欠片が、未来への希望を閉じ込めたかのように、静かに光っていた。

春の風が、新たな季節の訪れを告げていた。

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最後に

これでバレンタインの終わらない夜のお話は終わりです。途中は少しグダグダ感のある内容でしたが、最後はちゃんと終われたので自分としては満足です。心の壁を作らずお互いに理解し合うことを学んだ生徒たち。学校にいる間だけでなく大人になってからもこの思いを胸に成長して欲しいものです。

それではまた次のお話にご期待下さい。

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